D・W・Wの暗黒ブログ伝説


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暗黒!三国志について。

 ここのところ、酷い風邪を引いていました。ようやく回復して、体力も戻ってきました。
 せっかくの機会ですので、軽く触れてみます。



 ネット上の三国志小説には、完結作品が少ないと感じます。これは商業作品も同じなのですが。

 個人的には、これには幾つかの原因がある、と考えています。


・正史と演義


 最大の原因はこれです。
 どちらも非常に膨大なデータを含んだ資料で、こだわりすぎるとキリがありません。よく三国志の議論を見かけますが、「史実では史実では」と言っている人がかなり多いと思います。更に此処に独自解釈が入ってくるので、初心者にはついて行けない世界になりがちです。
 具体的に史実と言われているのは、正史をはじめとする幾つかの歴史書からの記述なのですが、実は最近の研究で、正史にもいい加減な部分が多いし、逆に演義も結構捨てたものではない事が分かってきています。(三国志を構成している二大要素である正史と演義について、詳しいことはwikiでも覗いてみてください)

 実際歴史的にあった出来事も多いわけでして、三国志は詳しい人になると、とんでもない知識量を蓄えています。拙者ははっきりいってさほど詳しい方では無いので、本当に詳しい人になると、拙者の一万倍は詳しいでしょう。

 しかし、これが壁になります。なぜなら、小説で重要なのは、おもしろさだからです。
 ディテールも重要です。ディテールをおろそかにした小説は、ストレスを感じさせるものだからです。
 ですが、それ以上に小説ではおもしろさが大事なものなのです。

 二つの膨大な資料がある事で、三国志の創作は、自縄自縛に近い状態になっています。詳しい人ほど、史実が史実が、税制が地位の制度が実際の文化レベルが技術レベルがと言っている内に、作品が描けなくなっていく。こだわりすぎる内に細かい矛盾が気になっていき、修正して修正してとやっている内に、本筋を見失ってしまう。
 そして当初の壮大な計画は放棄され、やがてネットの海に沈んでしまうのです。

 商業で成功している三国志作品を、見てください。具体例はあえて挙げません。

 ディテールにこだわりすぎるよりも、エンターテイメントを中心に据えていませんか?
 もちろん物書きを自認するなら、ディテールに最大限こだわる三国志を書く!というのもよろしいでしょう。しかしその場合、読者は付いてこないことを覚悟してください。
 読者が見たいのは、あくまで人間達の生きている様子なのであって、税制のディテールや制度の細かいうんちくでは無いのですから。
 ただし、ディテールを捨てるのも感心できません。バランスを取る事が重要なのです。

 しかし、三国志では、そのバランスを取る事が、とても難しいと思います。成功している作品を書いている偉大な先人達には、感動さえ覚えるのが事実です。


・暗黒!三国志でやりたかった事。


 拙者がこの作品でやりたかったことはいくつかあります。

 その最大のものが、ネット上で三国志の小説を完結させない原因である、正史と演義の関係性を改善したい、というものです。

 そこで拙者は、敢えて当時あった出来事を拙者なりに解釈して、話を進めるという手法を採っています。正史でも無く演義でもなく、どちらの資料も見て、実際はこうだったのではないかと考えつつ、話を進めています。

 普通の三国志ですっぱり切られている河北の戦乱を緻密に書いたり、逆に超緻密に書かれている赤壁をあっさり終わらせたのも、その辺が理由です。

 ベースは飽くまで史実。正史を信じすぎず、演義のエンターテイメントを取り入れ、更に現代の人にも分かり易くギャグや面白い人も入れていく。

 そう考えることで、三国志の新しい作品を書けないだろうか。
 それが、拙者が思っていたことです。

 もちろんそれを達成し切れたとは思っていません。拙者の力量では、これが限界だったのも、事実です。


 他にも、この当時も重要だった流民の問題を入れてみたり、当時から重視されていた密偵の描写を強めていたり、死を中心に話をつないでいったり、人間としての曹操を書いてみたいという要求は色々とありました。

 しかし、出発点は、あくまで此処なのです。


・完結後の展望


 暗黒!三国志を書き上げて、ふと思ったのは、やはり三国志というのは凄い作品だなあと言うことです。まだまだ書き足りない部分はたくさんありましたし、違う戦略で書けば、また全く違う作品が描けると思います。

 しかし、個人的には、達成感を感じた以上に、やはりネット創作上での、三国志の難しさを再確認しました。



 いろいろな三国志があっていいと、拙者は思います。

 ただし、あまりにもディテールにこだわるばかりで、話の本筋のおもしろさを捨ててしまう三国志が、ネット上ではどれだけ多いことか。

 ピンチがあって、それを覆して、戦いに勝ったり負けたりして、順風満帆では無い人生を送って、悲しんだり喜んだり満足したり。


 どんな風に人が生きたのか、そして死んでいったのか、歴史的な事実よりも、小説ではそこを重視すべきである事を忘れてはいないでしょうか。

 「正しい」ことは、歴史の研究書に書けば良いのです。

 みんなが楽しんで読めて、最後には感動できるもの。それが小説では無いのでしょうか。


 拙者も、三国志を書き切れたとは言えない部分が多くあります。しかし、まがりなりにも完結させて、ふとそう思いました。

 そしてこう感じた次第です。


 まだまだ、修行が足りないっ!




・最後に


 長くなりましたが、この作品には今でも深い愛着があります。

 今後も、この作品を読んで、楽しんでくれる人が現れてくれれば、とても嬉しいです。
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by dwwyakata | 2012-07-14 13:48 | 小説万歳! | Trackback | Comments(0)
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