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D・W・Wの暗黒ブログ伝説


D・W・Wの館で公開した作品の後書きを主に綴った、暗黒ブログでござる! ツイッター開始しました。アカウント「dwwyakata」です。
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作品解説。暗黒!トトリのアトリエ

 ほい、というわけでせっかくのGW。

 ラストですし、暗黒!トトリのアトリエの作品構成戦略について語ってみようかと思います。

http://www5b.biglobe.ne.jp/~dww/watan_058.htm




 ※なお、作品のネタバレを盛大に含むので、暗黒!アーランドシリーズ(ロロナ、トトリ、メルル)を全部読んでから読むことを推奨します。




・テーマは道
 これは作品のタイトルページにも書いていますが、この作品のテーマは道。もしくは路です。

 そもそも原作のテーマが「旅」のこのゲーム。(そういえばアトリエシリーズ最新作のフィリスのアトリエでも、テーマは旅でした)実際にプレイしてみると分かるのですが、アトリエにいる時間よりも、外を歩き回っている時間の方が長いくらいで、冒険者ランクを上げる実績の中にも、何日外を歩き回ったのか、というのがあるくらいです。
 しかしながら、その旅というのは、どうやって行うのか。

 それには絶対必要なものがあります。

 そう、それは人間が通ることが出来る経路です。

 本作品では、アフターホロコースト(実は原作世界でも、文明が一度滅びてから旅の人なる謎の錬金術師によって復興された経緯が、アーランドシリーズの初代作であるロロナのアトリエ冒頭にて短く語られています)な世界観の中で、どうやって路を作っていくのか。

 そのためには何が必要なのか。

 それを主軸に、シナリオを書き進めていきました。



・主人公は歴代最弱
 暗黒!アトリエシリーズは、タイトルにわざわざ暗黒と書いている事からも分かると思いますが、原作に大幅な修正を加えている世界観となっております。

 その中でもこの暗黒!トトリのアトリエは、路を作るストーリーという事もあって、主人公の造形には随分悩みました。

 原作の可愛い可愛いトトリさんも大変に結構なのですが、個人的には過酷なミッションをクリアするために、数年がかりで国が育成した人材、という点も強調したかった。

 それは、文字通り人外の土地とかしている世界に、人間が安全に通ることが出来る路を作り上げる事がどれだけ大変かが、ちょっと考えてみなくてもすぐ分かるからです。

 そうして構成された主人公は。

 理解力に極ぶりされ、単純な戦闘能力に関しては歴代最弱というハンデ持ちになりました。

 これは路というものを作るためには、どうして此処に路が無いのか、どうすれば路を作る事が出来るのかを、理解する必要があるからです。

 ロロナ先生の、長嶋監督を思わせる感覚的な教え方をすんなり理解できるのも、それがトトリさんの強み。

 その代わり、戦闘能力そのものは大きなハンデとなっていて、周囲に支え続けられる主人公ともなりました。

 その一方で、もはやどう考えても無理なインポッシブルミッションを連続でこなすことになり。国家のバックアップもあって尻を叩かれながら無茶苦茶な高難易度ミッションを進めていく結果。

 生真面目な性格も禍して、歴代主人公に無いスピードで病んでいくことになります。



・どのようにして路を作るのか

 これがこの作品において、一番工夫した点でした。

 流れ込んでくる亜人類の難民達。人間と紛争を起こしている亜人類。巨大生物が闊歩し、日夜の温度差が100℃を超える砂漠。退路無き戦場。凄まじいナノマシンと放射能汚染の結果、もはや生物がまともな姿ではいられない魔境。錬金術の秘儀によって、世界からずれてしまった場所。巨大な海棲ドラゴンが住み着いてしまった結果、寸断された航路。単独で大陸を滅ぼす化け物「邪神」(正体は前文明の暴走AI)によって、国家さえ構成できなくなった大陸。そして何より、単純な軍事紛争地域。

 これらを解決しながら。

 人間が通れる路につなげていく。

 それが、この作品。暗黒!トトリのアトリエの肝となった部分です。

 他の暗黒!アーランドシリーズを読めば分かるのですが、トトリさんの時代はシリーズ通してのラスボスである最悪の錬金術師集団、一なる五人が最も大暴れしている時期。

 トトリさんには、国力を高めたアーランドが、有機的に他の国家と路をつなぐことにより、連合態勢を構築し、敵の大軍勢を撃退するための仕組みを作るという最大級のプロジェクトが裏側から化せられていました。これが作中で語られているプロジェクトの、トトリさんが行う主要部分です。このプロジェクトの成否には、一なる五人の狂気の計画に抵抗し、人類の滅亡から各国を守るための砦としての役割もありました。(この部分は、次回作の暗黒!メルルのアトリエにて、更に明確に描写されています)

 故にこのプロジェクトに関わっていたロロナさんも、必然的に自分の心と体を痛めながらもプロジェクトに邁進し、最高の人材であるトトリさんを見つけ出したわけです。

 最高の人材であるトトリさんは、最高の摩擦を浴びて錬磨され、精神を激しいスピードで病みながらも、知ると知らずと関わらず(途中からは、計画については大まかに理由を理解していましたが)、路を作っていったわけです。

 結果的にトトリさんは最終的に壊れてしまいましたが。

 彼女がいなければ人類が滅んでいたのは、暗黒!メルルのアトリエの状況を見れば確定。

 アーランドも必死だったわけで、それがシナリオの過酷さを更に後押ししている事になります。



・トトリさんの路

 絶望に満ちたラストをこの作品は迎えました。まあ原作通りにロロナ先生が幼児化して精神もおかしくなり、トトリさんも自分が感情を持っていたのが悪いと結論してしまった故に、完膚無きまでに壊れてしまったので、ラストは正直な話地獄だったかなとわしも思っております。

 しかし、これは路としては、通過点です。

 実際問題、トトリさんが作った路によって、人類はどうにか体勢を立て直し、一なる五人に対抗する戦力を整える事が出来ました。

 壊れてからもトトリさんは更に路を拡げ、一なる五人に対抗するべく、最大戦力の一人として活躍しました。
(完全に壊れたことによってリミッターが外れて、最強ランクの使い手に覚醒したのは皮肉としか言いようがありませんが)

 トトリさんが通った路は、この作品でラストではありません。

 次の作品、暗黒!メルルのアトリエにまで続いていき。其処で大きな結末を迎えることになります。

 その結末については賛否があるでしょうが。

 行方不明になった母親を探したいというモチベーションで、国家プロジェクトに巻き込まれ。絶望の中、地獄のようなミッションをこなしていったトトリさんが作り上げた路が。

 結果として、多くの命を救ったことは事実です。



・結論

 最終的な結論として、この作品は路でした。

 そしてそれは暗黒!メルルのアトリエに続いている事も意味しています。

 当然絶望的にもほどがあるラストには否定意見もあるでしょう。

 わし自身も、あまりにも過酷すぎるラストだなと自分で思った故に、即座に次の二次創作を、続編である暗黒!メルルのアトリエにしようと思ったくらいです。


 ただ、この作品は路を作る作品だった。

 それだけは覚えておいて欲しい所です。







 ざっとまとめてみました。

 色々と過酷な作品だったことはわしも理解しています。

 それでも、この作品を楽しんでくださった読者がいたことは忘れませんし。読者の方々に楽しんでいただけるよう、毎度筆を取っていたことも事実です。

 まとめはあまり得意ではないのですが。

 こんな感じで、暗黒!トトリのアトリエは執筆された。それが分かるのであれば、幸いです。

by dwwyakata | 2017-05-07 17:15 | 暗黒後書伝説! | Trackback | Comments(0)

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