D・W・Wの暗黒ブログ伝説
現在のサブカルチャーにおける閉塞感とネット小説について。
前々から感じていたことをまとめてみました。
一読していただけると幸いです。
1、近年のサブカルチャーにおける閉塞感について
近年、どうもサブカルチャー、特にライトノベルを中心とする、いわゆる低年齢層向け文学作品に、閉塞感を覚えているという人は少なくないかと思われます。
特に拙者はライトノベルとも関係性が強いネット創作に昔から関わっていることもあり、近年特に閉塞感を強く覚えていた一人であります。
しばらくこれについて考察していたのですが、考えがまとまったので、レビューしてみます。
なお、先に言っておきますが。
個人的には、必ずしもキャラクター重視主義が悪いとは思っていません。
2、閉塞感の正体とは
現在、サブカルチャーに置いて、二つの問題が猛威を振るっています。
一つは、孤独性。
外部の人間を一切寄せ付けない風潮がそれです。
これはいわゆる新しい文化が登場する時には、必ず発生する現象であります。
かっては映画やテレビ、更にさかのぼれば歌舞伎でさえ、同じような排斥を受け、社会的に「サブカルチャー」ではなく「カルチャー」だとみなされるには時間が掛かりました。
これに関しては、新しい文化が必ず体験するものなので、拙者はさほど心配しておりません。
心配なのは、もう一つの問題。
サブカルチャー作品における、シナリオの空洞化です。
この二つが、閉塞感の正体では無いか。そう、拙者は考えています。
特に近年感じるようになったのは、いわゆるサブカルチャー作品における、ストーリー性の低下とそれに反比例するキャラクターの過剰プッシュです。
特に重度のサブカルチャーマニアになってくると、ストーリーなどどうでも良い、キャラクターさえ可愛ければどうでもいいと豪語する人間まで現れるようになってきています。
これを一概に悪いことだと決めつけるのではなく、どうしてこういう考えが醸成されていったのか、考える方が建設的でありましょう。また、きちんとしたストーリーを持つ作品を愛好する層と、キャラクターのみを重視する層の対立も近年は深まっていますが、それを分析する事も重要かと思います。
3、キャラクター重視主義の根源とは
長らく考えていたのですが、現在のようなキャラクター重視主義が発生するには、大きな転機が幾つも存在していたかと思います。
その一つが、いわゆるギャルゲーの発生です。
ギャルゲーといわれるジャンルの作品群がヒットしはじめた根本的原因は、やはり「ときめきメモリアル」でありましょう。
誰もが知るギャルゲーの始祖的作品です。
この作品は、幾つかの意味でゲームの歴史的に重要な存在です。
一つは、男子が今まで見向きもしなかった、「恋愛」がゲームになり、しかも売り物になると証明したこと。
そしてもう一つは、キャラクター商法です。
主人公は個性の無い男子(つまりプレイヤーの分身)となり、自分を磨いて意中の女の子と恋人同士になる事を目指すというこの作品の趣旨も重要ではありましたが、この作品のヒットは、後述する幾つかの副作用をゲーム業界、更にはそれ以外の業界にまで余波を投げかけました。
こうして、ギャルゲーと呼ばれる作品群が、世間に認知されます。
このギャルゲーと言われる作品ジャンルがヒットしたことにより、その影響は多くに生じました。始祖であるときめきメモリアル以降、その傾向は特に顕著になっていきました。
まず第一に、「男女のストーリーを追う」タイプのゲームが発展に向かったこと。
それまでもデジタルノベルの元祖になるような作品は存在しましたが、恋愛をゲームに持ち込んでも問題ないと分かったことにより様々なゲームが発展しはじめました。
特にゲームで小説を読むタイプの「アドベンチャー」系と呼ばれるゲームは、以降様々に変化しながら爆発的に市場を成長させ現在では、恋愛を扱ったタイプの作品は、殆どがこの系統になっています。特にアダルト要素のあるゲームでは、この傾向が強いようです。
そして、もう一つが。
キャラクタービジネスの隆盛です。
ギャルゲーの発展は、その作中にいるキャラクター達に、個別の熱狂的なファンを発生させました。
ゲームの中の個別キャラクターを、そのまま商品化することが可能な時代が到来したわけです。
その結果、ゲームそのものよりも、そのサイドビジネスの方が儲かることもあると言う、不思議な現象が発生します。
とにかく儲かるのなら、市場はそれに食いつくのが世の習い。ただし、これが定着し、今のような状態になるまでには、時間が掛かったことは併記しておきます。
現在では、様々な形で、キャラクタービジネスは市場に深く根を張っています。
さて、何もこれらの影響は、先述の通りゲームにだけ及んでいたわけではありません。
それを、これから分析します。
4、アイドルファンの流入
さて、キャラクタービジネスが隆盛すると同時に、影響を受けた分野は幾つもありました。
その最たるものが漫画です。
ただし、これについては、漫画の界隈を必ずしも席巻しているわけでは無いので(ただしウェイトは大きくなってきていると思います)
説明は省かせてもらいます。
しかし、此処でもう一つ、あまり話題にならない出来事が生じています。
アイドルファンの流入です。
近年、ファン以外が拒絶反応を起こす「萌え」とよばれるジャンルが発展してきていますが。
これは必ずしも近年発生したものでしょうか。
個人的には違うと考えています。
とくに、古参のアイドルファンはピンとくるものがあるのではないでしょうか。
昔から、この「萌え」に相当するものを担っていたものが、あるのではないかと。
はい。アイドルです。
昔から、アイドルというジャンルは、奇抜な格好に個性的なキャラクター、何よりファンとの関係性が
重要な業界でした。必ずしも歌唱力やダンス力だけでは、アイドルの人気は決まらなかったことは、アイドルが好きな人には周知であると思います。
現在萌えというものは阻害的な存在として扱われていますが。
古くから、アイドルと呼ばれる人達は、この阻害的な「非日常感」を武器としていたのではないでしょうか。
此処からは、あくまで個人的な説である事をご理解ください。
アイドルファンと、キャラクタービジネスにおけるキャラクターは、極めて相性が良い。それが結論です。
特にキャラクタービジネスのキャラクターの場合、極めて現実のアイドルより身近だという利点があります。
本物のアイドルじゃ無いなんて、という否定的意見もあったでしょうが、それも消えていきました。
実際問題、アイドルファンが、実際のアイドルと恋を実らせて結婚に至った例などありますか?あったとしてもごく少数でしょう。
より身近で、より側にあるアイドル。それがギャルゲーのキャラクターでした。
ギャルゲーはヒットすると同時に、爆発的な進化を遂げていきました。
キャラクターグラフィックの向上だけでなく、ルックス、キャラクターの見せ方の研究など、あらゆるジャンルで莫大な努力が行われていきました。
その結果、キャラクター商法に使われるキャラクターはアイドル化していった。
そして、アイドルファンと同一の層(ただし一部)が、これにくいついた。
二つのマニア層が、此処で合流することになったと、拙者は考えています。
その結果、ファンの性質が、変質していくこととなります。
いわゆる「萌え」ブームも、その副作用の一つでは無いかと拙者は考えています。
キャラクター重視主義についても、これである程度説明がつきます。
たとえばアイドルファンにとって、そのアイドルが過去にどのような勉強をしたかとか、どのようなレッスンを受けたとか、重要でしょうか。
勿論重要視するファンもいるでしょうが、少数の筈です。
アイドルファンがまず見るのは、露出する表面。ルックスや言動、なのですから。
5、作品のアイドルユニット化
さて、ここからが本題となります。
現在、一部のラノベ、更にはゲームでは、キャラクター商法が進み、更にアイドル的な性質をキャラクターが帯びた結果、幾つかの制約ができはじめています。
そのもっとも顕著な例ですが。現在は、サブカルチャーにおいてキャラクターの自由恋愛が嫌われる傾向があります。
現在では、男の子向けの作品でも、恋愛を取り扱う作品は珍しくも無いのですが。
殆どの作品では、主人公と、その他大勢の女子が、恋愛「ごっこ」をするに留まっています。
コレは何故か。
これは、キャラクターそのものが商品アイドル化している事を前提にすれば、ぴんと来るのでは無いのでしょうか。
つまり、無個性である読者の代理人の主人公は例外として。
それ以外の恋愛は、アイドルにとっては傷物になるも同じだからです。
そもそもギャルゲーにおける恋愛は、多くの場合「主人公とヒロイン」が一対一で行うものでした。(例外有り。アダルトゲームなどでは更に例外は多い)
これはゲームであるが故に問題なかったのですが(つまり、シナリオごとに、主人公は最初から全てやり直すため)
この方式が小説や漫画などの非ゲーム媒体にも持ち込まれた結果、意図的に魅力が消された主人公が、全てのヒロインと恋愛「ごっこ」に終始する、おかしな事が生じています。
小説では、基本的にシナリオは一本。
つまりキャラクター商品であるアイドルを多数だそうと、その全てを商品化する場合、手を出すわけにはいかないからです。(例外有り)
(実のところ、この弊害が持ち込まれたのは、小説だけではありません。一本道タイプのシナリオのゲームにも、近年は持ち込まれている傾向が強いのです)
これだけに問題は留まりません。
現在のライトノベルでは特に顕著ですが、キャラクタービジネスの商品であるヒロインが、表紙を飾ることが非常に多くなっています。
書店などで、女の子の絵が多数並べられているのを見て、驚かれた方は多いのではないでしょうか。
これは言うまでも無く、購買層の間口を狭くします。
他にも制約は数え切れないほど、無言のままにできつつあります。
昔の作品には無かった制約が、現在は多くの作品を縛っています。
その結果、孤立と阻害が生じています。
この制約の鎖の中、現在の作品は、よく頑張っていると言えるのかも知れません。
制約の中でも、傑作は生まれているのですから。
そして、言うまでも無いことですが。
制約は、文化の発展に極めて重大な阻害を与えます。海の向こうの漫画であるアメコミなどは、これによって酷い成長阻害を受け続け、現在では、表現できることが著しく少なくなってしまいました。
我が国では、キャラクターをビジネスの商品とするという風潮が行きすぎた結果、同じようなことが起き始めています。
シナリオの陳腐化。
キャラクター重視主義の偏重。
それらは、決して急にもたらされたものではありません。
ビジネスモデルとして優れていたアイドルユニット作品が、あまりにも多くなりすぎた。
売れるのなら、どんどんやるのがビジネス。その結果、行き着くところまで行ってしまった。
それが原因だといえるでしょう。
やがて、このままでは、サブカルチャーそのものにバブル崩壊が来てもおかしくは無いでしょう。
6、閉塞の打破について
先にも書きましたが、個人的には、必ずしもキャラクター重視主義が悪いとは思っていません。
しかし、そろそろ新しい戦略を引き出す必要があるとも思っています。
たとえば、これらの閉塞感の原因は、いろいろな事象が歪んで絡み合っているから、ではないでしょうか。
何かの切っ掛けで、これらを打破できる可能性はあります。
近年では、キャラクター重視と、シナリオを両立した傑作も出てきています。
このままガチガチの拘束の中、歴史の闇の中に沈んで行くには、あまりにも現在日本のサブカルチャーは惜しい。拙者はそう感じます。
そして、ネット小説にも、この閉塞の荒波は来ています。
非常に大きな影響を商業作品に受けて、悪い面をもろに晒してしまっているからです。
ですが、こんな時こそ。
誰も考えたことが無いような、オリジナルの作品を書いてみるべきではないでしょうか。
ネット小説だからこそ、売れる事を意図せず書けます。
ネット小説にしか出来ない事も多数あります。
これを読んだ方は、是非とも現在の閉塞感を打破する何かを掴んで欲しい。
拙者はそう思います。
一読していただけると幸いです。
1、近年のサブカルチャーにおける閉塞感について
近年、どうもサブカルチャー、特にライトノベルを中心とする、いわゆる低年齢層向け文学作品に、閉塞感を覚えているという人は少なくないかと思われます。
特に拙者はライトノベルとも関係性が強いネット創作に昔から関わっていることもあり、近年特に閉塞感を強く覚えていた一人であります。
しばらくこれについて考察していたのですが、考えがまとまったので、レビューしてみます。
なお、先に言っておきますが。
個人的には、必ずしもキャラクター重視主義が悪いとは思っていません。
2、閉塞感の正体とは
現在、サブカルチャーに置いて、二つの問題が猛威を振るっています。
一つは、孤独性。
外部の人間を一切寄せ付けない風潮がそれです。
これはいわゆる新しい文化が登場する時には、必ず発生する現象であります。
かっては映画やテレビ、更にさかのぼれば歌舞伎でさえ、同じような排斥を受け、社会的に「サブカルチャー」ではなく「カルチャー」だとみなされるには時間が掛かりました。
これに関しては、新しい文化が必ず体験するものなので、拙者はさほど心配しておりません。
心配なのは、もう一つの問題。
サブカルチャー作品における、シナリオの空洞化です。
この二つが、閉塞感の正体では無いか。そう、拙者は考えています。
特に近年感じるようになったのは、いわゆるサブカルチャー作品における、ストーリー性の低下とそれに反比例するキャラクターの過剰プッシュです。
特に重度のサブカルチャーマニアになってくると、ストーリーなどどうでも良い、キャラクターさえ可愛ければどうでもいいと豪語する人間まで現れるようになってきています。
これを一概に悪いことだと決めつけるのではなく、どうしてこういう考えが醸成されていったのか、考える方が建設的でありましょう。また、きちんとしたストーリーを持つ作品を愛好する層と、キャラクターのみを重視する層の対立も近年は深まっていますが、それを分析する事も重要かと思います。
3、キャラクター重視主義の根源とは
長らく考えていたのですが、現在のようなキャラクター重視主義が発生するには、大きな転機が幾つも存在していたかと思います。
その一つが、いわゆるギャルゲーの発生です。
ギャルゲーといわれるジャンルの作品群がヒットしはじめた根本的原因は、やはり「ときめきメモリアル」でありましょう。
誰もが知るギャルゲーの始祖的作品です。
この作品は、幾つかの意味でゲームの歴史的に重要な存在です。
一つは、男子が今まで見向きもしなかった、「恋愛」がゲームになり、しかも売り物になると証明したこと。
そしてもう一つは、キャラクター商法です。
主人公は個性の無い男子(つまりプレイヤーの分身)となり、自分を磨いて意中の女の子と恋人同士になる事を目指すというこの作品の趣旨も重要ではありましたが、この作品のヒットは、後述する幾つかの副作用をゲーム業界、更にはそれ以外の業界にまで余波を投げかけました。
こうして、ギャルゲーと呼ばれる作品群が、世間に認知されます。
このギャルゲーと言われる作品ジャンルがヒットしたことにより、その影響は多くに生じました。始祖であるときめきメモリアル以降、その傾向は特に顕著になっていきました。
まず第一に、「男女のストーリーを追う」タイプのゲームが発展に向かったこと。
それまでもデジタルノベルの元祖になるような作品は存在しましたが、恋愛をゲームに持ち込んでも問題ないと分かったことにより様々なゲームが発展しはじめました。
特にゲームで小説を読むタイプの「アドベンチャー」系と呼ばれるゲームは、以降様々に変化しながら爆発的に市場を成長させ現在では、恋愛を扱ったタイプの作品は、殆どがこの系統になっています。特にアダルト要素のあるゲームでは、この傾向が強いようです。
そして、もう一つが。
キャラクタービジネスの隆盛です。
ギャルゲーの発展は、その作中にいるキャラクター達に、個別の熱狂的なファンを発生させました。
ゲームの中の個別キャラクターを、そのまま商品化することが可能な時代が到来したわけです。
その結果、ゲームそのものよりも、そのサイドビジネスの方が儲かることもあると言う、不思議な現象が発生します。
とにかく儲かるのなら、市場はそれに食いつくのが世の習い。ただし、これが定着し、今のような状態になるまでには、時間が掛かったことは併記しておきます。
現在では、様々な形で、キャラクタービジネスは市場に深く根を張っています。
さて、何もこれらの影響は、先述の通りゲームにだけ及んでいたわけではありません。
それを、これから分析します。
4、アイドルファンの流入
さて、キャラクタービジネスが隆盛すると同時に、影響を受けた分野は幾つもありました。
その最たるものが漫画です。
ただし、これについては、漫画の界隈を必ずしも席巻しているわけでは無いので(ただしウェイトは大きくなってきていると思います)
説明は省かせてもらいます。
しかし、此処でもう一つ、あまり話題にならない出来事が生じています。
アイドルファンの流入です。
近年、ファン以外が拒絶反応を起こす「萌え」とよばれるジャンルが発展してきていますが。
これは必ずしも近年発生したものでしょうか。
個人的には違うと考えています。
とくに、古参のアイドルファンはピンとくるものがあるのではないでしょうか。
昔から、この「萌え」に相当するものを担っていたものが、あるのではないかと。
はい。アイドルです。
昔から、アイドルというジャンルは、奇抜な格好に個性的なキャラクター、何よりファンとの関係性が
重要な業界でした。必ずしも歌唱力やダンス力だけでは、アイドルの人気は決まらなかったことは、アイドルが好きな人には周知であると思います。
現在萌えというものは阻害的な存在として扱われていますが。
古くから、アイドルと呼ばれる人達は、この阻害的な「非日常感」を武器としていたのではないでしょうか。
此処からは、あくまで個人的な説である事をご理解ください。
アイドルファンと、キャラクタービジネスにおけるキャラクターは、極めて相性が良い。それが結論です。
特にキャラクタービジネスのキャラクターの場合、極めて現実のアイドルより身近だという利点があります。
本物のアイドルじゃ無いなんて、という否定的意見もあったでしょうが、それも消えていきました。
実際問題、アイドルファンが、実際のアイドルと恋を実らせて結婚に至った例などありますか?あったとしてもごく少数でしょう。
より身近で、より側にあるアイドル。それがギャルゲーのキャラクターでした。
ギャルゲーはヒットすると同時に、爆発的な進化を遂げていきました。
キャラクターグラフィックの向上だけでなく、ルックス、キャラクターの見せ方の研究など、あらゆるジャンルで莫大な努力が行われていきました。
その結果、キャラクター商法に使われるキャラクターはアイドル化していった。
そして、アイドルファンと同一の層(ただし一部)が、これにくいついた。
二つのマニア層が、此処で合流することになったと、拙者は考えています。
その結果、ファンの性質が、変質していくこととなります。
いわゆる「萌え」ブームも、その副作用の一つでは無いかと拙者は考えています。
キャラクター重視主義についても、これである程度説明がつきます。
たとえばアイドルファンにとって、そのアイドルが過去にどのような勉強をしたかとか、どのようなレッスンを受けたとか、重要でしょうか。
勿論重要視するファンもいるでしょうが、少数の筈です。
アイドルファンがまず見るのは、露出する表面。ルックスや言動、なのですから。
5、作品のアイドルユニット化
さて、ここからが本題となります。
現在、一部のラノベ、更にはゲームでは、キャラクター商法が進み、更にアイドル的な性質をキャラクターが帯びた結果、幾つかの制約ができはじめています。
そのもっとも顕著な例ですが。現在は、サブカルチャーにおいてキャラクターの自由恋愛が嫌われる傾向があります。
現在では、男の子向けの作品でも、恋愛を取り扱う作品は珍しくも無いのですが。
殆どの作品では、主人公と、その他大勢の女子が、恋愛「ごっこ」をするに留まっています。
コレは何故か。
これは、キャラクターそのものが商品アイドル化している事を前提にすれば、ぴんと来るのでは無いのでしょうか。
つまり、無個性である読者の代理人の主人公は例外として。
それ以外の恋愛は、アイドルにとっては傷物になるも同じだからです。
そもそもギャルゲーにおける恋愛は、多くの場合「主人公とヒロイン」が一対一で行うものでした。(例外有り。アダルトゲームなどでは更に例外は多い)
これはゲームであるが故に問題なかったのですが(つまり、シナリオごとに、主人公は最初から全てやり直すため)
この方式が小説や漫画などの非ゲーム媒体にも持ち込まれた結果、意図的に魅力が消された主人公が、全てのヒロインと恋愛「ごっこ」に終始する、おかしな事が生じています。
小説では、基本的にシナリオは一本。
つまりキャラクター商品であるアイドルを多数だそうと、その全てを商品化する場合、手を出すわけにはいかないからです。(例外有り)
(実のところ、この弊害が持ち込まれたのは、小説だけではありません。一本道タイプのシナリオのゲームにも、近年は持ち込まれている傾向が強いのです)
これだけに問題は留まりません。
現在のライトノベルでは特に顕著ですが、キャラクタービジネスの商品であるヒロインが、表紙を飾ることが非常に多くなっています。
書店などで、女の子の絵が多数並べられているのを見て、驚かれた方は多いのではないでしょうか。
これは言うまでも無く、購買層の間口を狭くします。
他にも制約は数え切れないほど、無言のままにできつつあります。
昔の作品には無かった制約が、現在は多くの作品を縛っています。
その結果、孤立と阻害が生じています。
この制約の鎖の中、現在の作品は、よく頑張っていると言えるのかも知れません。
制約の中でも、傑作は生まれているのですから。
そして、言うまでも無いことですが。
制約は、文化の発展に極めて重大な阻害を与えます。海の向こうの漫画であるアメコミなどは、これによって酷い成長阻害を受け続け、現在では、表現できることが著しく少なくなってしまいました。
我が国では、キャラクターをビジネスの商品とするという風潮が行きすぎた結果、同じようなことが起き始めています。
シナリオの陳腐化。
キャラクター重視主義の偏重。
それらは、決して急にもたらされたものではありません。
ビジネスモデルとして優れていたアイドルユニット作品が、あまりにも多くなりすぎた。
売れるのなら、どんどんやるのがビジネス。その結果、行き着くところまで行ってしまった。
それが原因だといえるでしょう。
やがて、このままでは、サブカルチャーそのものにバブル崩壊が来てもおかしくは無いでしょう。
6、閉塞の打破について
先にも書きましたが、個人的には、必ずしもキャラクター重視主義が悪いとは思っていません。
しかし、そろそろ新しい戦略を引き出す必要があるとも思っています。
たとえば、これらの閉塞感の原因は、いろいろな事象が歪んで絡み合っているから、ではないでしょうか。
何かの切っ掛けで、これらを打破できる可能性はあります。
近年では、キャラクター重視と、シナリオを両立した傑作も出てきています。
このままガチガチの拘束の中、歴史の闇の中に沈んで行くには、あまりにも現在日本のサブカルチャーは惜しい。拙者はそう感じます。
そして、ネット小説にも、この閉塞の荒波は来ています。
非常に大きな影響を商業作品に受けて、悪い面をもろに晒してしまっているからです。
ですが、こんな時こそ。
誰も考えたことが無いような、オリジナルの作品を書いてみるべきではないでしょうか。
ネット小説だからこそ、売れる事を意図せず書けます。
ネット小説にしか出来ない事も多数あります。
これを読んだ方は、是非とも現在の閉塞感を打破する何かを掴んで欲しい。
拙者はそう思います。
by dwwyakata
| 2013-11-14 21:34
| 更新報告!
|
Trackback
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Comments(8)
Commented
by
。
at 2013-11-15 19:16
x
逆に今までが話とか設定だけ小難しくこねくり回して、キャラには個性も何もない
作品が多すぎたってことの反動じゃないですかね。
作品が多すぎたってことの反動じゃないですかね。
0
Commented
by
dwwyakata at 2013-11-15 19:21
そういった側面もあるかも知れないですね。
Commented
by
ほしい物リスト
at 2013-11-18 13:23
x
Commented
by
dwwyakata at 2013-11-22 18:11
そうですね。消費者側も、そろそろ露骨な搾取にはノーを突きつける時期が来ているのだと思います。
Commented
by
reimu
at 2013-11-28 00:45
x
俺なんて「発表しなければ自由!」とメモ帳に無断使用禁止と明記されてるサイトの3次創作もどきを書いたりして満足してるけどキャラもストーリーも独自の物なんて作れないし…。読者としてはいくらでも過激にノーを突きつけて時に荒らし扱いされたりするけどなorz
ってか誤字やミスの指摘をちゃんとする読者と即座に修正する作者が少な過ぎるんだよ。むしろ発表時期には公表されてなかった公式設定についてとかの的外れ指摘や正しいのを誤字と決めつける無知や悪意しかない罵倒にまで感謝や謝罪するのを見せつけられてたらいくら他の読者コメへのツッコミは厳禁と思ってても我慢しきれないっての、個人的には感想は良い点を褒めるのと見過ごせないミスへの柔らかい指摘だけで十分だと思ってるからな俺は(ちょっと厳しく言っただけで消すとかやめるとか言うチキンハートな作者が多過ぎるから)
ってか誤字やミスの指摘をちゃんとする読者と即座に修正する作者が少な過ぎるんだよ。むしろ発表時期には公表されてなかった公式設定についてとかの的外れ指摘や正しいのを誤字と決めつける無知や悪意しかない罵倒にまで感謝や謝罪するのを見せつけられてたらいくら他の読者コメへのツッコミは厳禁と思ってても我慢しきれないっての、個人的には感想は良い点を褒めるのと見過ごせないミスへの柔らかい指摘だけで十分だと思ってるからな俺は(ちょっと厳しく言っただけで消すとかやめるとか言うチキンハートな作者が多過ぎるから)
Commented
by
dwwyakata at 2013-11-29 18:44
そうですね。批判や批評に対する耐性が無い作者の増殖や、なれ合いの恒常化も問題の一つでしょうね。
ネット小説は一種のコミュニティとして発達している面は確かにありますが、過剰ななれ合いは毒にしかなりません。今後は自浄機能を働かせるべく、作者が努力していかなければならないでしょうね。
ネット小説は一種のコミュニティとして発達している面は確かにありますが、過剰ななれ合いは毒にしかなりません。今後は自浄機能を働かせるべく、作者が努力していかなければならないでしょうね。
Commented
by
すらいど
at 2013-12-08 01:14
x
萌えコンテンツ結構好きな自分が擁護すると、リアルが暗いのに創作でもわざわざ暗い気分になりたくないってとこでしょうか?w
まあ、萌えが氾濫しているからといって、一級品の萌えもたくさんあるかというとそうでもないので、むしろ飢えてると言っても過言でもないのですよ。記号的なものはNOTHNKSですからね。といういか、萌え一択というより、むしろ最近は極度に緩いか極度に厳しいかの二極化といった印象を受けます。中途半端の両取り狙った奴が消え去ってる印象ですね。
それにじゃあ、ストーリーがよく出来た作品が消えてるかというと、しっかり評価されてると思いますしね。まあストーリーとキャラは車輪の両軸なんで、単体評価ッてどうかと思いますけど。
なんにせよ、作者さんの作風は、なんだかんだで時代にマッチしてると思うので、今後も期待しています。
まあ、萌えが氾濫しているからといって、一級品の萌えもたくさんあるかというとそうでもないので、むしろ飢えてると言っても過言でもないのですよ。記号的なものはNOTHNKSですからね。といういか、萌え一択というより、むしろ最近は極度に緩いか極度に厳しいかの二極化といった印象を受けます。中途半端の両取り狙った奴が消え去ってる印象ですね。
それにじゃあ、ストーリーがよく出来た作品が消えてるかというと、しっかり評価されてると思いますしね。まあストーリーとキャラは車輪の両軸なんで、単体評価ッてどうかと思いますけど。
なんにせよ、作者さんの作風は、なんだかんだで時代にマッチしてると思うので、今後も期待しています。
Commented
by
dwwyakata at 2013-12-09 22:22
こんばんは。ブログの方にも書き込み有り難うございます。
なるほど、参考になります。
拙者としても萌えコンテンツには存在意義が充分にあると思いますし、明るい話も大いに結構だとは感じているのですが、ちょっと傾向が偏りすぎなのが問題だなあと思うわけです。
ただ、露骨にこびを売る作品が近年は忌避される傾向にある事も知っておりますし、ご指摘のようにストーリー性が高い作品が評価されていることも実例を幾つも見ております。
今後は良い方向にサブカルチャーが推移していくと良いなあと、個人的には思っております。
なるほど、参考になります。
拙者としても萌えコンテンツには存在意義が充分にあると思いますし、明るい話も大いに結構だとは感じているのですが、ちょっと傾向が偏りすぎなのが問題だなあと思うわけです。
ただ、露骨にこびを売る作品が近年は忌避される傾向にある事も知っておりますし、ご指摘のようにストーリー性が高い作品が評価されていることも実例を幾つも見ております。
今後は良い方向にサブカルチャーが推移していくと良いなあと、個人的には思っております。
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